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2020.07.27
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一般的な分譲住宅の断熱性能は、省エネ基準のUA値0.87(東京・横浜・大阪等の地域)を満たしているかどうかのレベルです。国土交通省の直近の公表データによると、戸建分譲住宅の省エネ基準適合率(外皮基準適合率)は、52%だそうです。つまり新築分譲住宅のだいたい半数の住宅は、省エネ基準のUA値0.87も達成できていない断熱性能ということです。高断熱住宅を希望するならば少なくともUA値0.6以下を目指したいところですが、ぜんぜん性能が足りていないということです。
さらに気密性能については、分譲住宅で気密にこだわった住宅というのは、私は今までのところ聞いたことがありません。気密性能にこだわるということは、1棟ごとに気密測定をきちんと行い、少なくともC値1.0以下のレベルを確保している住宅だと考えます。でも、今までのところ、そのような分譲住宅の広告は目にしたことはありません。もしそのような住宅が分譲されているという情報があればぜひ教えてください。
つまり、とても残念なことですが、高気密(C値1.0以下)・高断熱(UA値0.6以下)といった性能を確保しようと思ったら、今のところ我が国では、現実的には注文住宅しか選択肢がないのです。
逆に言えば、注文住宅・中古住宅リノベーションを選べば、賃貸住宅や建売住宅では得ることのできない高気密・高断熱住宅の仕様を選ぶことが可能であるということです。ちなみに、注文住宅的な要素のある建築条件付きの住宅の場合、施工業者が高気密・高断熱住宅の建築ノウハウを持っている可能性は高くないと考えた方が無難です。そのため、きちんとした高気密・高断熱性能を確保することは難しいと考えた方がいいと思います。
もちろん、高気密・高断熱化すると、その分費用はかさみます。コストアップ額は一概には言えませんが、目安としては、延床面積30坪程度の一般的な戸建住宅で、省エネ基準レベルの住宅に対して、概ね200万円から300万円程度を上乗せするとかなりのレベルの仕様に引き上げられます。 でも、このコストアップによる住宅ローンの支払い増額分は、冷暖房の光熱費の削減額でたいていの場合、元が取れ、むしろ黒字になるケースの方が多いようです。さらに言えば、住宅ローンの完済後は、光熱費の削減分は懐に残りますから、老後の生活のゆとりにつながるということです。
結露がなく、冬暖かく夏涼しい住宅、ヒートショックの心配もなく、カビ・ダニに悩まされることのない住宅というのは、注文住宅・中古住宅リノベーションで性能にこだわった場合だけ得られる特権でしょう。
それから、もう一つ、注文住宅・中古住宅リノベーションを選ぶメリットとして、「メンテナンスコストが安い仕様を選ぶ」ことができるということです。
戸建て分譲住宅の場合、例えば外壁は、多くの場合、サイディングが採用されています。サイディングの場合、概ね10年ごとに外壁の塗装やコーキングの打ち替えが必要になります。だいたい100万円前後の費用が10年ごとに発生するわけですから、この費用はバカになりません。 屋根についても、分譲住宅で一般的に採用されている薄型スレート瓦も同様にメインテナンスコストが定期的にかかります。写真は、塗装が必要な状態に劣化しているスレート瓦です。 ここでは深くは触れませんが、注文住宅の場合は、外壁や屋根などに耐久性の高いメインテナンスコストがあまりかからない素材を選ぶことが可能です。
また、メインテナンスコストという点では、シロアリ対策(蟻害処理)も重要です。詳しくは、別の機会にあらためて書きたいと思いますが、通常の木造の分譲住宅は、人体に有害なネオニコチノイドという農薬系の薬剤を防蟻処理剤として塗布しています。写真のように地盤から1mの高さまでがオレンジ色に塗られている薬剤がそれです。これの薬剤は人体に有害なだけでなく、5年程度で効果がなくなるので、5年ごとに再処理が必要になります。この費用もバカになりません。 防蟻処理もほぼ半永久的に再処理の不要な処理方法があるのですが、多くの分譲住宅では採用されていません。注文住宅・中古住宅リノベーションであれば、防蟻処理方法も、半永久的に再処理が不要な処理方法を指定することが可能です。
いずれにせよ、住宅の購入には、中長期的なメインテナンスコストを鑑みながら仕様を選ぶことが大切です。中長期的なメインテナンスコストを含めて住宅に係る費用負担額をシミュレーションすると、恐らくおのずと注文住宅・中古住宅リノベーションの方が経済的にも有利という結果になることが多いと思います。
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