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2020.07.30

高気密、高断熱の省エネ住宅、知っておくべき5つのポイントを解説!

高気密、高断熱の省エネ住宅、知っておくべき5つのポイントを解説!

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高気密、高断熱を知って、後悔のないハウスメーカー・工務店選びをしよう

省エネ住宅を建てたいと考えるなら高気密、高断熱は重要なキーワードです。ただ、何も知らないと本当の意味での高気密、高断熱性能に優れた省エネ住宅を建てることはできません。
我が家を、お財布にも家族の健康にも地球にもやさしい本当の省エネ住宅にしたいと考える方は、これから紹介する5つのポイントを知った上で「住まいづくり」を始めることをおすすめします!
省エネ住宅を依頼する住宅メーカーや工務店を決める際に必要な情報が満載です!

最近は、中古住宅(戸建・マンション)を購入して、フルリノベを行う方も増えています。その際も、断熱リノベも同時に行うことをお薦めしたいと思います

【ポイント1】日本の省エネ住宅の気密、断熱性能は世界最低水準!?

義務ではない!日本の省エネ性能基準

欧米などのほとんどの先進国には、住宅の省エネ基準や断熱性能の基準等が定められています。表に整理したように、米国や欧州の国々では、省エネ基準に適合していないと戸建住宅も新築することができません

日本でも、省エネ基準は定められています。ところが、現時点では住宅への省エネ基準適合義務はありません。そのため、新築戸建住宅の外皮基準(断熱性能)への適合率は、58%(※1)にとどまっています。つまり何も知らずに注文住宅を立てると、省エネ基準にを満たさない家になる可能性が高いということです。
(※1)2017年国土交通省「新築住宅における省エネ判断基準適合率の推移」より

一番緩い基準の日本の省エネ基準

適合義務がないことは前述しましたが、仮に適合している住宅でも性能が万全かというとそうではありません。実は、日本の省エネ基準は世界的に見るとかなり低い水準です。
つまり、日本の省エネ基準を満たしている住宅でも、世界基準に照らし合わせると、新築で建てることすら許可されないような性能の住宅ということです。
まず、世界の基準に照らして、日本の住宅の性能水準の低さをきちんと認識することが満足いく住まいづくりには重要です。
現在の日本の住宅の一般的な性能を前提に住まいづくりを行うと、後々、性能不足により後悔することになる可能性が高いのです。

【ポイント2】高気密、高断熱の省エネ住宅性能は窓の性能が最重要

住宅の省エネ性能を向上させるのには、大きく分けると、①躯体性能の向上(断熱・気密性能、日射遮蔽・日射取得)、②設備の省エネ性能向上、③再生可能エネルギー(太陽光発電、太陽熱温水器等)の大きく3つの方法があります。
その中で最優先するべきは①躯体性能の向上(断熱・気密性能、日射遮蔽・日射取得)です。
その理由は、躯体の耐用年数は、一般的には30年程度ですが、耐久性の高い住宅ならば、60年、さらに100年以上持つ場合もあります。断熱・気密性能や日射遮蔽・日射取得性能も基本的には耐用年数の間、その性能を維持します。
それに対して設備は早ければ10年程度で更新が必要になってしまいます。
例えば、住宅の省エネ性能を向上させるために、追加の予算が100万円あったとして、その費用を躯体に割くべきなのか、設備に割くべきなのか、耐用年数を考えればその答えは明らかです。さらに断熱・気密性能を後からリフォームして向上させようとすると、新築時のコストアップ額の何倍もの費用が掛かります。それに対して、エコキュートや太陽光パネル等の設備を後からつける工事はそれほど大変ではありません。その上、これらの設備は年々価格が安くなっています。新築時よりも、後からつける方がむしろ安く済むケースもあるくらいです。

大事なのはエアコンで温度調整した空気を逃がさないこと

せっかく暖房や冷房しても、断熱・気密性能が低い住宅は、バケツの穴から水が流れ出ているように、大切な熱を無駄にしてしまっています。また夏に日射を遮蔽できずに家の中に取り込んでしまい、冷房負荷が大きくなってしまうことや、冬に日射を積極的に取り込むことができない住宅も同様です。
住宅で生じる熱の損失を壁、屋根、開口部(窓)等で比較すると、窓から最も多くの熱が逃げています。特に、日本の住宅の窓の性能が低いため、冬は約52%、夏は約74%ものエネルギーが窓から失われています。

また、アルミは樹脂や木の約1,000倍もの熱を通すため、日本以外の先進国でアルミサッシを積極的に使用している国はなくなっていることも知っておきたい事実です。ちなみに米国では、50州のうち24州でアルミサッシの使用が禁止されているそうです。

窓の性能向上で結露は防げる

欧米では、結露が居住者の健康に悪いことが一般的に知られています。そのため、欧米の多くの国では、結露が生じるのは誤った設計であり、結露が生じると瑕疵になってしまいます。つまり結露が生じるのは設計ミスもしくは施工ミスなので、施工者は直さなければならないのです。
結露が起きることが前提になっている我が国の窓とはかなり異なる点です。ただし、日本でも住まい手に住宅の不満について聞いたアンケートで、結露が不満の上位に入っていることは、家を建てる際には意識しておきたい点です。
窓の性能を高めることは、住宅の省エネ性能を高める施策の中でも費用対効果が高く、快適性や健康への影響にも大きいことから、最優先で検討したいものです。

【ポイント3】高気密、高断熱住宅が家族の健康を守る

家の中の温度差が引き起こすヒートショック

住宅内の急激な温度変化により身体が受ける影響のことをヒートショックといいます。例えば、暖かいリビングから寒い脱衣室、浴室、トイレなど温度差の大きいところに移動すると身体が温度変化にさらわれて血圧が急変します。特に冬期の入浴では、暖かい居間から寒い脱衣室や浴室へ移動し、さらに裸になるため、熱を奪われまいとして血管が縮み、血圧が上がります。そして、お湯につかると血管が広がって急に血圧が下がります。寒い環境での入浴は、血圧が何回も大きく変動することになります。血圧の変動は心臓に負担をかけるため、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすことにつながるのです。ヒートショックに起因して入浴中に亡くなる方は、全国で年間約1万4000人と推測されています。2017年の交通事故死者数は4,000人を下回っていますから、交通事故よりもヒートショックによる死者数の方がはるかに多いのです。

寒い地域だけの話ではないヒートショック

ヒートショックは、寒い地域で多く発生するもので、比較的温暖な地域ではあまり関係ないことと思っている人も多いようです。それは大きな誤解です。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、高齢者の入浴者の心肺停止状態発生率の都道府県別のランキングでは、最も発生率が高いのが香川県、2位が兵庫県、3位が東京都、一方、2番目に低いのが北海道、4番目に低いのが青森県です。つまり、比較的温暖な地域でヒートショックの発生率が高く、寒冷地でも高気密・高断熱住宅が普及している北海道や青森県では、あまり発生していないのです。ヒートショックは、決して寒い地域だけのリスクではありません。むしろ高気熱・高断密住宅が普及していない中途半端に温暖な地域こそ危ないのです。
すべての先進国では夏よりも冬に亡くなる人の比率が高いのですが、夏と冬の死亡率の差の大きさは、先進国の中で残念ながら日本はトップクラスになっています。これは住宅の断熱・気密性能不足によるヒートショックリスクの高さに起因していると思われます。

【ポイント4】アレルギーや喘息の原因は結露にあり

低断熱が引き起こすもう一つのリスク「結露」

結露が生じるとどうしてもそこにカビが発生します。そしてカビはダニの餌になるため、ダニも増加します。カビもダニもアレルゲンになるため、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、喘息等を引き起こすのです。もちろんこれらの症状は、カビやダニ以外のアレルゲンによることもあるので一概には言えませんが、高気密・高断熱住宅に転居した後、これらの症状が出なくなったという話は実際によく聞きます。
断熱・気密性能とアレルギー・喘息との関係性については、まだあまり知られていないようです。住まいづくりを考える際のとても重要なポイントの一つですので、頭に置いた上で、住まい選びを進めましょう。

冬の結露と夏の結露

住宅の結露は、実は冬だけではなく、夏にも生じる可能性があります。夏は、冬に比べて室内と室外の温度差が小さいので、冬の結露に比べると結露の量は小さく、夏の結露をどの程度問題にするのかについては、専門家の間でも意見が分かれるところです。ただ夏の結露が厄介なのは、目に見えないところに生じるということです。冬の結露の多くは、室内のサッシ周り等の目に見えるところで生じます。それに対して夏の結露は、外気の暑い湿った空気が室内の冷房された壁面に触れて生じるため、壁の中の見えないところで生じるということです。そのため、夏の結露については、なかなか気づきにくいのです。

ほんとは怖い内部結露

夏の結露は、壁の中の見えないところで生じることを説明しましたが、これを「内部結露」とか「壁内結露」と呼びます。それに対して、サッシや壁の表面に生じる結露を「表面結露」といいます。
冬も、気密等の対策をきちんと取っていない住宅の場合は、「表面結露」だけでなく、「内部結露」も生じます。
「内部結露」は、壁内の見えないところで発生し、じわじわと断熱材の性能を低下させたり、柱や土台を腐らせたりと、家の性能を低下させていきます。さらには湿潤な環境を好む白アリの発生にもつながります。このように内部結露は、家の寿命を短くしたり、耐震性能の低下にもつながるので注意が必要です。
住宅内の湿度コントロールや結露対策については、工務店やハウスメーカーによって、考え方やノウハウのレベル差が非常に大きい領域です。各社に湿度コントロールや結露対策についての考え方を聞いてみると、工務店やハウスメーカー選びの決め手の一つになる情報が得られると思います。住宅会社選びの際には、ぜひ各社に質問してみてください

【ポイント5】高気密住宅こそ、最適な換気で空気の流れる家は作れる

分けて考えたい「風通し」、「換気」、「漏気」

風通し」、「漏気」、「換気」を整理して理解することが、気密性能を考える上では大切です。
まず「風通し」ですが、これは窓を開けて風を通すことを言います。もちろん風通しのいい住まいは住み心地がいいです。ただ、「風通し」には窓や壁の配置が大切なのであって、「気密性能」とは直接の関係はありません
次に「換気」ですが、これは人間の呼吸などで汚れた空気を排出し、新鮮な空気を供給することを言います。現在の新築住宅には、化学物質からの健康被害(シックハウス)を防止するために家の空気を1時間に0.5回入れ替える24時間換気が可能な設備の設置が義務づけられています。特に高気密住宅の場合は、計画的に換気を行う必要があるので、換気システムは重要です。
そして「漏気」ですが、これはいわゆる「すきま風」のことです。文字通り家の隙間から知らないうちに出入りしている空気の流れを言います。気密性能を上げるということは、この「漏気」を減らすということを意味します。気密を十分に取れていないと「漏気」が多くなってしまい、せっかく冷暖房された空気が知らないうちに逃げ出してしまい非効率になってしまいます。
つまり、「風通しの良い」窓の配置をし、気密性を高めることで「すきま風=漏気」を防ぎ正しい方法で新鮮な空気を取り込む「換気システム」を取り入れることで、本当の意味で快適な空気の流れる家が出来上がるのです。

高気密住宅の室内換気システム

熱交換タイプの換気システムが採用されているケースが多くなっています。熱交換器で熱エネルギーを回収し、取り入れた新鮮な外気に回収した熱エネルギーをのせて室内に取り入れるので、冬は寒くなりにくく、夏は暑くなりにくい快適なシステムです。

まとめ

  1. 日本の省エネ基準の緩さ、義務化されていないことを認識し、消費者側が快適な暮らしのための住宅性能を選ぶ目を持たなくてはならない
  2. 高気密、高断熱住宅で躯体の性能が重要。中でも最も多くの熱を逃がす窓は最重要。設備などは後からでもコスト負担は高くない
  3. ヒートショックを引き起こす家の中の温度差をなくすことは家族の命に関わること。断熱性能で妥協するべきではない。
  4. 結露を発生させないことがアレルギーや喘息の改善につながる。断熱性能を上げ、結露が起こらないのが世界基準である。
  5. 高気密、高断熱住宅に適した換気システムで、部屋の熱を逃がさず、新鮮な空気が流れる家は作られる

省エネ住宅には、高気密、高断熱性能が欠かせません。
しかし、住宅性能については専門的な基準や用語が多く、自分の納得のいく住まいに必要な性能はどの程度なのかご自身で判断するのは難しいと思います。
ただ、何も知らないまま住宅メーカーや工務店の提案だけで家づくりを進めないために、少しでもご自身で情報を得ることは大切です。

コラムをお読みいただき、ご不明なことや、もっと知りたいことなどがございましたらぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

【ホームテックの提案】 断熱×健康 選べる3暖階とは!?

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断熱・気密において、必要な性能は家や家族構成、暮らし方によって差があります。
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