COLUMN
コラム
2021.05.20
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田中様(女性、50歳)東京都在住
田中様の兄(55歳)東京都在住
田中様の母(78歳)神奈川県在住
田中様がホームテックのマネー相談に来られたのは2020年コロナの緊急事態宣言が解除されしばらくたった平日の昼間でした。
新聞の折り込みチラシを見て、ホームテックの存在を知り、何回か来店する中で『具体的に母の自宅のリフォームについてのマネー相談』に至ります。
田中様が話してくれました。
『母は今、築30年の戸建てで独り暮らしです。そろそろ足腰も悪くなってきたし、自宅も古いのでリフォームしようかと思ったのです。しかし、母の相続税まで考えると、建て直すべきか、売却すべきか、リフォームすべきか判断付かなくて。お金も無尽蔵にあるわけではないし…お母様はあと5年で亡くなると常日頃言っているのですが、もうどうしていいかサッパリわかりません…』
たしかに田中様のおっしゃる通り相続税などを考えるとリフォームすることでどういう影響があるかわかりませんよね。そこでもう少し田中様の詳細を見てみましょう。
田中様自身は都内に自宅(戸建て)保有、お兄様もお母様も同様に自宅(戸建て)を保有しています。
お母様は今まで専業主婦でした。一方、亡くなられたお父様は現役時代、航空会社に勤めるエリートサラリーマンでした。お父様の退職金も手を付けずにそのまま残っているようで、資金的には5千万円程度あるとのことでした。
お母様自体は一人が気楽なので、子供と同居することはどうも気が進まないということでした。
この前提を基に以下の通り、どうすればいいかそれぞれ考えたいと思います。
お母様の自宅をバリアフリーの新築に建て直すことで、お母様が安心して暮らすことができます。とはいえ問題があります。それは長女である田中様が同居するのであれば、小規模宅地の特例(※1)が適用できるので、お母様の相続税対策(今回の場合、590万円も相続税が安くなる試算でした)となります。しかし、お母様は同居を望んでおりません。
(※1小規模宅地の特例とは、今回のケースでは『母と同居している田中様が自宅を相続した場合、自宅土地評価が80%評価減』となるものです。適用条件の詳細については必ず税理士等の専門家にご相談ください)
新築を建てるとなるとお金も千万単位でかかりますので、田中様は躊躇してしまいました。
次に売却することを考えました。売却した場合、人気のエリアの戸建てになりますのでどうやら6500万円くらいの値段で売却できそうです。一方で、相続評価は5,000万円くらい(※2)。売却したらお母様の新しい自宅を探さなければいけないことや、売却することで5000万円の自宅が6500万円の現金になってしまっても、相続税が増えるだけだし、母の性格上、多額のお金を手にしても特に何も使わないだろうということで『売却はしない』となりました。
(※2自宅などの不動産は相続税を計算する上で、一般的(首都圏近郊)には現金よりも安く評価されます。(今回は6,500万円で売れるものが5,000万円という相続評価になります)一方で、6500万円の現預金の相続評価は6,500万円のままとなります。)
リフォームの最大のメリットは新たに建て直すことに比べてお金がそれほどかからないことです。一方で田中様はお母様と同居することで1の小規模宅地の特例の適用を受けることが出来ます。
当初、お母様は子供との同居を望んでいませんでした。しかし、本人の足腰が弱っていることは自覚しています。小規模宅地の特例を適用することで、相続税対策となることや、建て直すことにくらべ費用が安いということで、結局同居の方向で話が進み、バリアフリーの2世帯住宅にリフォームすることになったのです。
新築だと3000万円かかる家ですが、リフォームだと当然それ以下でお財布に優しいですし、田中様がお母様と同居することで、相続税も上記の通り600万円近く安くなります。非常にいい決断ができたとおっしゃっていただいた事例です。みなさんも総合的、俯瞰的に自分の家をどうすべきか、お悩みの場合、弊社にご相談いただければ幸いです。