COLUMN
コラム
2021.10.08
築古の戸建住宅を購入した場合、フルリノベで十分な耐震性能が確保できるのか気になる方も多いと思います。
ここでは、耐震性能の基準と、耐震性能を向上させる方法をお伝えします。
まず、耐震等級というものについて整理したいと思います。新築で建築基準法で義務付けられているのは、耐震等級1レベルの耐震性能です。これは、「震度6強から7程度に対して倒壊、崩壊しない。震度5強程度に対して損傷を生じない程度」の耐震性能ということです。
ここで注意していただきたいのは、「震度6強から7程度に対して倒壊、崩壊しない。」という表現です。建築基準法では、震災で人が死なないことを重視しています。逆に言うと、人が死ななければ、そのあとその建物が使えなくても、それはそれで仕方がないという考え方です。つまり、耐震等級1レベルの住宅は、震度6強から7程度で倒壊はしませんが、そのあと住み続けられない可能性が高いということでもあります。
そのため、性能にこだわっている住宅会社では、新築では耐震等級1では不十分ということで、耐震等級3の耐震性能を標準で確保する会社が増えています。耐震等級1から3に性能を引き上げるのには、それほど、とんでもなくコストアップするわけではありません。ただ、窓の大きさや壁の位置など、設計上の制約事項が結構増えてきます。
新築の場合は、基本的には耐震等級3を確保するべきだと思います。
古い住宅の場合、そもそもの新築時の耐震性能が低く、さらに、シロアリ被害や腐れが生じていたりで、耐震性能が不足しているケースが多いです。ただ、そのような住宅でも、耐震補強工事で十分な耐震性能が確保できるのでしょうか。
きちんと補強すれば、たとえシロアリにやられていたような住宅でも、ほとんどのケースで、ある程度の耐震性能を確保することはできます。
耐震等級3までが可能なのかどうかは、ケースバイケースですが、その場合に問題になってくるのが、柱や梁よりも【基礎の耐力】です。
耐震性能というのは、建物の構造を強固に固め、地震の揺れに耐える仕組みです。木造の柱や梁は、十分に補強すれば、耐震性能を確保することができます。耐震補強により、柱や梁の強度を上げると、その分、基礎が耐えられるかどうかが問題になってきます。築古の住宅の基礎は、耐力が低く、せっかく柱や梁を十分に補強しても、基礎が地震の揺れの負担に耐えられないというリスクがあります。
もちろん基礎を補強することもできますが、それはそれで、コストもかかりますし、そうすると地盤が耐えられるのか等、また次の問題も出てきます。
基礎の耐力不足を踏まえて、築古の中古住宅の耐震補強でお薦めしたいのが、制震ダンパーの導入です。制震ダンパーとは、建物に伝わる揺れを熱エネルギーに変換してダメージを軽減する装置で、最近、新築住宅では採用されるケースが増えてきています。建物の柱などの間に揺れを吸収する制震ダンパーを設置することで建物を地震の被害から守るわけです。
制震ダンパーを導入すると、単に耐震性能が上がるだけでなく、上階の揺れが軽減される、強風や台風の影響を受けにくくなる、建物損傷のリスクが少ない、などのメリットがあります。2階以上の階に伝わる揺れが大幅に軽減されるため、家具転倒を予防等の効果もあります。
そしてなによりも、制震ダンパーにより上階の揺れが軽減されるということは、建物自体の揺れが減るということです。揺れ自体が吸収されるため、当然、基礎にかかる負担も大幅に軽減されます。築古住宅の耐震補強の場合、基礎にかかる負担が軽減されますので、基礎の耐力不足をカバーできる可能性が高くなります。これが最大のメリットです。
耐震補強も含めた中古住宅購入+フルリノベを検討されている方は、ホームテック・リフォームプライスへぜひご相談ください。