TRUE STORY
実話から生まれたホームテックのポリシー
「両親から受け継いだお家をリフォームしてほしいんです」
あれは、今から2年ほど前のこと。30代の若々しいお客様から、マンションのリフォームに関してご相談をいただいた。その当時はまだ結婚されていなかったものの、お付き合いされている女性がおり、2人で住むための住まいを新しくしてほしいとのことだった。
「まずは、キッチンの使い勝手を良くしたいですね」
「それからお風呂とトイレも分けられたらいいなあ」
マンションの築年数は35年ほど。そのため、より住みやすいお部屋へと改装する必要があった。キッチン周りを回遊できるように工夫し、お風呂とつながっていた洗面所を分けるなど、工夫できるポイントはたくさんあった。
もちろんマンションなので、壁を自由に壊せないなどの制約もある。それでも、できる範囲で試行錯誤を重ね、キッチンは廊下からも入れるような提案をさせていただいた。また、お風呂と洗面所には壁を設置することで、トイレを分けられるように工夫した。
「これなら、理想的な住まいに近づきますね!」
「あとは和室をなくして、リビングを広くしたいです」
一緒に担当していた女性のプランナーとともに、ご要望をさらに集約。そこで、もともとあった和室をなくして、リビングを広くとれるような設計を進めていった。楽しそうに話すお客様の姿を見ながら、私たちはより核心をつく質問へと対話を進めていく。
「ところで、お客様にとっての『至福のひととき』はどんなときですか?」
「至福のひととき……ですか」
より良いリフォームを実現するためには、基本的なご要望だけでなく、お客様が心から大切にしていることを聞かなければならない。そのための質問が「至福のひととき」である。お客様は、少し考えてから、次のようなことを話してくれた。
「実は、2人ともダンスが大好きなんです」
「お部屋は1階ですし、ダンスを楽しめるお部屋になると嬉しいですね」
もともとお2人は学生の頃からダンスクラブに入っており、大会やイベントに参加することもあったとのこと。また、友人の結婚式などで披露することもあり、自宅で練習できれば嬉しい、というお話だった。ダンスの話になると、お2人の笑顔はさらに輝き出した。
「ぜひ実現しましょう!」
「たとえば、リビングに大きな鏡を設置してみてはいかがでしょうか?」
ダンスの練習には、それぞれの全身が映る大きな鏡が欠かせない。スクールなどには設置されているものの、自宅にあるケースは少なく、これまでは大きな鏡を立て掛けて対応していたそう。そこで特大の鏡を設置し、2人の全身が映るように提案した。
「それはいいですね!」
「ぜひ、お願いします!」
秋口に工事がはじまり、翌年の1月には新しいお部屋が完成。その後、引き渡しを経て、お客様に喜んでいただくことができた。リフォーム期間にご結婚されていた2人は、新しくなった住まいをとても喜んでくれた。
「理想通りの住まいにしてくれてありがとうございます」
「2人で住むのが本当に楽しみです」
それから1年経った後。感謝のはがきをいただき、あらためてご自宅に伺う機会をいただいた。お2人は明るい笑顔のまま、私たちをあたたかく迎え入れてくれた。そしてなんと、設置された大きな鏡の前で、ダンスを披露してくれたのである。
「この場所で、2人で毎日、踊っているんですよ!」
「コロナ禍でも、自宅で快適に過ごせるようになりました。楽しい住まいを実現してくれて、本当にありがとうございました!」
お揃いのスニーカーで楽しそうに踊るお2人。その姿を見て、私は心の底から嬉しさがこみ上げてくるのを感じていた。そして喜んでいただけたこと、生まれ変わった新しい住まいを楽しんでいただいていることに、ありがたい気持ちでいっぱいになった。
「リフォーム後の理想的な住まい。二人にとっての至福のひとときが、ここにあります」