TRUE STORY
実話から生まれたホームテックのポリシー
わたしにとって〝雑談〟は、お客様との絆を深めるための重要な活動である。
リフォーム会社の営業マンとして仕事をしている以上、商品やサービスを勧めることも欠かせない。しかしそれ以上に、わたしは雑談を通じてお客様との関係性を構築することに力を入れている。それが結果的に、お客様から信頼していただき、より満足していただける仕事につながるからだ。どのようなお客様とのつながりも雑談から始まるのである。
雑談に力を入れるようになったきっかけは、入社してから一年も経たないうちに担当させていただいた、あるお客様とのやり取りである。その方は70代のおばあちゃんで、まだリフォームの知識が乏しかったわたしの雑談を、明るく豊かな表情で聞いてくれた。雑談を重ねるうちに、お互いの距離も縮まっていき、徐々に打ち解けて話せるようになっていった。
ご自宅を訪問するときも、わたしはまるで親戚のおばあちゃんを訪ねるような気持ちであった。そのような心の姿勢によって、適度に肩の力を抜くことができたのだろう。「何がなんでも契約を獲得する」というのではなく、話を広げてヒアリングし、お客様のご要望を実現するために何が必要なのかを考えながら、適切に提案できるようになっていった。
そのときわたしは、「これが自分のスタイルかもしれない」と気づいたのである。ただ話を引き伸ばすのではなく、お客様を理解するために雑談を活用することの大切さを知った。そのような気付きは、わたしにとって非常に重要なものであった。何より、雑談によってお客様が心を開いてくれるようになり、仕事に対する自信をもてるようになったのである。
不思議なことに、雑談をしていると、多くのお客様は自然と住まいへの不満を教えてくれる。「内装が古くなってきて……」「水漏れが気になるのよね……」。そこで、そのような不満や改善点をそれとなく深堀りしていくと、お客様が本当に望むリフォームの姿が見えてくる。場合によっては、お客様自身が自覚していなかった課題も浮き彫りになっていく。
その課題を一つ一つクリアしていくと、やがてご満足いただける仕事につながり、最終的には信頼を勝ち取ることにも結びつくと思う。わたしに「守りの雑談」ではなく「攻めの雑談」を教えてくれたこのおばあちゃんとの出会いは、自分にとってかけがえのない事柄であり、その教訓は今も胸に刻まれている。
それまでのわたしは、ただ、お客様の困りごとを解決してばかりいた。お客様が何に困っているのかを聞き、それをリフォームによって解決する。もちろんそれが仕事の基本ではあるのだが、それだけではより深い満足を得ることはできない。何より、表面的な仕事に終始してしまう。お客様にいい意味での驚きを与えることができないのだ。
決められた流れに従って仕事をするのは簡単だ。ただ、それだけだと発展しない。成長もない。本当にいい仕事というのは、お客様の言葉の裏に隠された潜在的な感情にあるのではないだろうか。そして、そのような気持ちを引き出すには、わたし自身を信頼してもらい、任せてもらえるような関係性を構築する必要がある。雑談は、そのために必要不可欠である。
そのうえで、ともに、より良い暮らしを実現していくこと。リフォームは、わたしたち営業やプランナー、現場の職人、そしてお客様とともに実現する複合的な活動である。もともと教育関係の勉強をしていたわたしは、人と人が協力しあって生み出すものに関心が強い。これからも、お客様に気付かせてもらった雑談力を活かし、相乗効果を高めていきたい。