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実話から生まれたホームテックのポリシー

住まいが明るくなると、お客様は笑顔になる

住まいが明るくなると、お客様は笑顔になる

 あれは、私が入社してまだ2ヶ月ほどしか経っていない頃。ある一人のお客様がご来店された。年齢のほどは70代、旦那様とお子様と三人で20年ほどマンションに暮らしている。
 最初はトイレ工事をご希望されていた。お話をお聞きすると、便座が割れてしまっており、修理してほしいとのこと。実際の便座を見せてもらうと、昔ながらのU字型で、樹脂製のものだった。割れた箇所をテープでグルグル巻きにして固定していたのだが、座ると少し浮いてしまう。そのため不便さを感じられていた。
 また、経年劣化もあり、日々のトイレ掃除に苦労されていた。落ちにくい汚れも増えていた。壁紙や床は、オレンジ色に近いクリーム色だったのだが、わずかに劣化して黄ばんでいた。照明もオレンジの電球色で、ちょっと暗く、曇ったような印象があった。そこで私は、便座の交換に加えて、壁紙や床の張替えまでご提案させていただき、お客様も「そうしよう」と賛成してくれた。

 私は、トイレ全体をできるだけ明るい印象にしようと思い、壁のクロスや床を白いものに変え、明るさを演出した。印象が明るくなった。さらに、汚れていた換気扇も掃除させていただいた。すると、トイレは見違えるようにキレイになった。
 お客様は、「トイレが明るくなったので、気持ちも明るくなりました」と、とても喜んでくれた。また、「本当に快適になり、毎日気持ち良く過ごしています」「トイレにいる時間が長くなったような気がします」などの感想もいただけた。
 私はこの会社に入るまで、トイレを変えるだけで、お客様の生活がガラリと変わるとは思ってもいなかった。しかし実際は、たった一箇所の工事がお客様に感動を与え、お客様を笑顔にした。その事実は、私に驚きと喜びをもたらした。
 引き渡しのときには、「トイレがあまりに快適なので、洗面台もお願いしたい」というお話をいただいた。洗面台には、一個所だけヒビが入っており、以前から気になっていたとのこと。しかし、なかなか一歩を踏み出せていなかったそう。それが今回の工事によって、生活が変わることを体感され、リフォームするきっかけとなった。

 洗面台は、最新式の三面鏡を採用。以前は2ハンドルのものであったが、混合になり、またヘッドも伸びるタイプになったので「とても使いやすくなりました」と言っていただけた。
 さらに、壁や床もトイレのテイストに合わせ、真っ白なクロスに張り替えた。新しい洗面所を見て、お客様は「トイレと同じように快適になり、本当に気持ち良く使わせていただいています」と喜んでいる。
 その後、「本当はもっとお願いしたいところがあるから、これからもよろしくね」と言われたとき、私は信頼してまかせていただけたのだと思い、とても嬉しかった。

 私自身、トイレと洗面台を両方まかせてもらえることは、初めての経験であった。そのぶん、工事が進む度にお客様の表情が明るくなり、また、お家の中も明るくなるのを見て、この仕事のやりがいを強く感じた。
 何より、お客様の生活が快適になること、お客様の生活が変わることを心から体感できたことは、とても感慨深い。便座、洗面台、壁紙、床。その一つひとつが、お客様にとって生活の一部。そして、それらが快適に、キレイに、明るくなるだけで、生活は変わるのだ。
 今でも思い出す。打ち合わせのときに美味しいハーブティーを入れていただき、それを飲みながらいろいろなお話をした日々を。少しずつ、お客様と打ちとけていく体験は、私にとってかけがえのないものである。
 最初のうちは、商品や工事の話が中心であった。しかしやがて、世間話の方が多くなった。そして、お客様は、「こんな風にしたらどうかな」「こういうことをやりたいね」などと、いろいろな希望を嬉しそうに語ってくれるようになった。暮らしが快適になると、お客様は笑顔になる。徐々に心を開いてくれる。その経験は、今でも私の原点である。

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