TRUE STORY
実話から生まれたホームテックのポリシー
「家族で住む実家をリフォームしてもらいたい」。
以前、そのようなご依頼をいただいたことがある。そのお家は、もともとご依頼主であるお客様のお母様が建てられた、一戸建てであった。玄関にステンドグラスを設置するなど、お母様のこだわりや愛着が感じられるそのご実家を、息子様家族が住むために、リフォームしてほしいということであった。建物自体はすでに築30年ほど経過していた。
ただ、最初からリフォーム内容に明確なご要望があったわけではない。あくまでも、家族で住むために実家を改装してほしいというのが主だった。息子様は40代後半。子どもの頃、つまり30年ほど前に住んでいた今の実家に対する愛着もあるだろう。加えて、建てられた当時の、お母様のこだわりも生かしてあげたい。わたしはそのように考えていた。
わたしの仕事はプランナーである。お客様がどのようなリフォームを実現したいのかをヒアリングし、より深堀りしつつ、形にするのが仕事である。たとえば玄関に設置されたステンドグラスをどう活用するのかについては、まさにプランナーとして腕の見せ所である。それが結果的に、お母様と息子様の双方にとって、喜ばれることだと思ったのだ。
息子様夫婦には、高校生と中学生のお子様がいる。そのような事情を考慮して、リビングの横にあった和室を、思い切ってなくしてしまうことにした。さらにキッチンは、対面型にすることによって、一体感を醸成することにした。物理的な広さは変わっていないが、さえぎるものを極力減らしたために、とても開放感がある空間をつくることができた。
もっとも、方向性を決めるのには苦労もあった。ヒアリングを重ねる中で、各々の生活リズムや時間の使い方を把握し、それをもとに少しずつ内容を詰めていった。
そのようにしてお客様のことをより深く理解することは、ご満足いただけるリフォームにつながりやすい。
最終的に完成したリビングは、どの部屋からでもアクセスできる、まさに家の中心的存在として生まれ変わった。お子様の部屋も、寝室も、洗面所にもリビングを介して行く。そのような動線が作られたことによって、家族みんなが顔を合わせる機会が増え、自然とコミュニケーションが生まれるようになった。廊下をなくしたことも、功を奏したと思う。
最も喜んでいたのは中学生の娘さんであった。自分の部屋ができたということもあるが、「たくさんの友人を呼べる自慢のお家になった」という点が何よりも嬉しかったとのこと。事実、リフォーム後は、頻繁に友達を呼ぶようになったそうだ。わたしはその話を聞いて、またその喜んでいる姿を想像して、心から喜ばしい気持ちになった。
プランナーとして活動していると、営業との連携も重要になってくる。とくに、コスト面での微調整などは、お客様にも直接的に関係してくることなので大切だ。営業として従事していた経験を生かし、シビアな部分にもきちんと目を向けた上で、最終的なご満足を引き出せるように心がけている。
そして、これからも、プランナーとして、お客様に喜んでいただけるような提案をしていきたい。自分なりの強みを発掘し、「この分野なら鈴木さん」と言われるよう精進したい。そして、今のお住まいの中にある好きなところを、もっともっと好きになってもらえるよう、ホームテックの一員としてリフォームに取り組んでいきたいと思う。