TRUE STORY
実話から生まれたホームテックのポリシー
「家族みんなで快適に過ごせる住まいにしたいんです」
40代のご夫婦が相談に来られたのは、ちょうど1年ほど前の冬のこと。当時、ご実家ではご両親が2人だけで暮らしていた。そこにご夫婦と2人の子どもが加わり、計6人で新生活をスタートする。そのためのリフォームをしたいとのことだった。
ご実家はとても大きく、築年数は20年ほど。1階には広いLDKと和室、寝室があり、2階にはさらにお部屋が3つもある。加えて、中2階や半地下にもお部屋があった。その大きなお家を、より良い住まいへと変えていくためのリフォームである。
「どのようなリフォームをご希望でしょうか?」
「やっぱり両親のことを考えて、まずはバリアフリーにしたいです」
ご両親はすでに高齢であることから、普段の生活や体調にも配慮しつつ、バリアフリーな環境を整備していくことになった。加えて、LDKを家族みんなで過ごせるような空間にすることもご提案させていただいた。
「主人が料理をしますので、対面型のキッチンにするのもいいですね」
「みんなで料理をしたり食事したりできると、楽しそうだなあ」
お打ち合わせの中で、ご主人様が料理をされることもあり、キッチンを改良することにもなった。これまで閉鎖型であったキッチンを、対面型のオープンなものにする。そうすることで、料理や食事などを通じ、コミュニケーションも生まれやすくなる。
「あとは、それぞれのお部屋もつくろうと思うんです」
たくさんお部屋があったことから、2人のお子さんはもちろん、ご主人様の書斎と奥様のお部屋もつくることになった。とくに子どもたちは、それぞれが好みの壁紙を自分で選ぶなど、希望通りのお部屋をつくることができた。
またご主人様の部屋は、中2階のスペースを活用。テレワークもできるような書斎にしつつ、壁紙やデザインもこだわりのものを採用。レンガ風の壁紙やシックな雰囲気など、ご希望に沿った空間へと仕上がっていった。あとは、奥様のお部屋である。
「実は……もともと裁縫教室を開くのが夢だったんです」
お話を伺うと、奥様はご趣味の裁縫を、教室としてみんなに教えたいとのことだった。そこで、半地下にある10畳ほどのスペースを活用して、裁縫教室が開けるような空間をご提案させていただいた。そうすれば、これまで以上に裁縫を楽しめるようになる。
「イメージとしては、アトリエのような感じですね」
実際に完成したお部屋は、ナチュラルな雰囲気の中に奥様が好きなブルーグレーの建具が配置されるなど、とても素敵なお部屋になった。まさに、裁縫用のアトリエにぴったりな印象である。半地下の落ち着いた感じもよくマッチしていた。
また、壁紙の一部には水色が使用されていたり、ミシンやサンプルのお洋服が並んでいたりなど、奥様のこだわりと裁縫教室ならではの空間が、自然なかたちで再現されているようだった。それこそ、以前の姿からは想像できないほど、見違える空間に……。
「おかげさまで、長年の夢が実現しました」
「お友達からの評判もとってもいいんですよ!」
そう嬉しそうに話すお客様の姿を見て、私は明るく賑やかな裁縫教室の様子を想像した。そして、お客様の夢をかたちにし、それが実現されたことに安堵するとともに、私は、良いリフォームができたのだと晴れやかな気持ちになった。
「これからは、家族みんなで安心して暮らせます」
工事がはじまってから終わるまで、実に3ヶ月ほどの期間がかかった。その間、お客様の方でも、それぞれのお部屋やキッチンなどを細かく検討し、シミュレーションされていた。当然、打ち合わせの回数も重ねられていった。
私はその度に、お話をしっかりと聞き、サンプルを提示したりアドバイスをしたりなど、幅広いご提案を行った。もちろん工期のこともあるため、バランスを考慮しながらの難しい舵取りでもあった。けれど、最終的には、お客様の望む住まいを実現できた。
そして、新しく生まれ変わったお家には、みなさんの個性と、和気あいあいとした家族の対話があふれていた。