COLUMN
コラム
2020.11.24
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前回の『小規模宅地の特例』は、亡くなったときの相続税を安くする決定版と言えるものでした。
今回は生前の相続税対策の代表例をご紹介します。
相続についておさらいしたい方は下記も読んでみてくださいね!
第1回 リフォームは相続対策になる?
第2回 リフォーム(不動産)と贈与について
第3回 住まいの相続税対策の具体例
この特例は「住宅取得資金の贈与の特例」などと呼ばれています。
亡くなった方から財産を取得すると「相続税」が、ご存命の方から財産を贈与されると「贈与税」が通常かかります。
この贈与税が非課税となり、生前のうちにまとまったお金を移すことができる方法が「住宅取得資金の贈与の特例」です。
住宅取得名目で、どの程度の金額を贈与しても、贈与税が非課税なのか見てみましょう。
上記のように、省エネ住宅か否か、またいつ契約したかで非課税となる贈与の金額が変わります。
この特例は、110万円の暦年贈与を併用して使えますので、上記の金額からプラス110万円まで非課税で贈与できると考えてください。
よって最大1,610万円の金額が非課税で贈与できるのです。
省エネ等住宅とは何かといいますと、『耐熱、耐震等が一定以上のレベルに達している住宅』を指しています。
また、それ以外にも受贈者(お金をもらう人)の所得制限や建物面積の条件などもあり、適用するための条件は細かくなっています。
よって、見様見真似でこの贈与の特例を受けようとしても失敗の元です。
必ず税理士等の専門家に事前相談することをオススメします。
一見いいことづくめに見えるこの特例ですが、デメリットもあります。
それは前回(第3回)も触れました“小規模宅地の特例を受けられなくなる”というものです。
ここで、前回を思い出してみましょう。
小規模宅地の特例は『3年内家なき子』が条件でした。
親からお金をもらってこの住宅取得資金の贈与の特例を受けた場合、子供は自宅所有者になりますので“小規模宅地の特例を受けられない”ことになるのです。
特に、親の自宅の土地評価が高い場合、『小規模宅地の特例の適用を受けた方が税金対策になる』という事態が生じます。
そういった場合は、住宅取得資金の贈与の特例は使わない方がいいでしょう。
また、意外と知られていませんが、この住宅取得資金の贈与の特例は、リフォームでも適用可能です。
適用条件(一部抜粋)
リフォームでの適用ではこのような条件があります。
中古住宅を購入したはいいが、ちょっと古いな、どうしようかなとお考えの方はぜひこのリフォームでの適用が出来るようにしてみるといいでしょう。
最後に、これらの特例は必ず贈与を受けた翌年に『確定申告』をする必要があるので注意しましょう。
よくあるケースでは、自分で判断して『どうもこの特例に該当しそうだから、親からお金もらって家を買おう。でも、確定申告はしない。』というケースです。
あくまで“お金もらいました”という事実を確定申告できちんと税務署にお知らせする必要があるということです。
今回の住宅取得資金の贈与の特例もしかり、相続対策はケースバイケースです。かならず専門家に相談してから判断するようにしてください。
第1回から回数を重ね、だんだんと難しくなってきましたね。皆さまの助けになれば幸いです。
次回もお楽しみに!