TRUE STORY
実話から生まれたホームテックのポリシー
「農家と子育て、どちらも両立できる住まいをつくりたいんです」
30代の若いご夫婦が相談に来られたとき、奥さまのお腹の中には赤ちゃんがいた。これから産まれてくる赤ちゃんも含めて、3人で新しい暮らしを実現していく。そのためのリフォーム相談ということであった。
リフォームするのは築年数が100年近くにもなる古民家。そのお住まいを、お父さまの世帯と、お客さまの世帯に分離するためのリフォームである。改装工事ではあるものの、かなり大掛かりなものになると予想された。
「キッチンは家族で会話ができる感じがいいですね」
「部屋全体としては、スッキリとした感じがいいかな」
奥さまのご意向もしっかりと聞くために、子育て経験のある女性のプランナーにも参加してもらい、打ち合わせを進めていった。打ち合わせは、赤ちゃんが産まれた後も続いていたため、授乳のタイミングにも配慮した。
「それでは次回、この部分のご希望を聞かせていただけますか?」
「わかりました。次までに考えておきますね」
奥さまは赤ちゃんを抱えながら、毎回の打ち合わせを笑顔で対応してくれた。
お二人の意向は徐々に固まってきて、全体的にスッキリとした内装にすることになった。広いお家ではあるものの、できるだけ雑多にはせず、シンプルな内装を心がけるようにした。
「やっぱり、明るい色がいいなあ。素足で歩けるような」
ご主人さまが望んでいたのは、素足で歩ける、明るい色の床材。部屋全体の印象が明るくなるように、床材にもこだわりつつ、全体が映えるようなものを選ぶことになった。もちろん、冬は温もりを確保できる床暖房入り。子どもも安心して歩くことができる。
「食洗機は絶対にこれって決めてるんです」
奥さまのご要望は、ミーレ社の食洗機を設置すること。以前から憧れていたらしく、リフォームするなら絶対にそれと決めていたそう。そこで、ミーレ社の食洗機を入れられるよう、キッチンメーカーにも問い合わせながら対応することにした。
配管の位置に苦労しつつも、現場監督としての経験を活かし、台所の位置を玄関の対角線上にすることができた。また、玄関ホールを工夫し、風が中に入り込まないような設計を心がけた。ご自宅が農業を営んでいることを踏まえてのご提案である。
「サンルームのおかげで、洗濯物も気兼ねなく干せるようになりました」
2階に設置したサンルームも、周囲に畑が多いための配慮であった。日常の家事をしやすくするさまざまな工夫には、プランナーの提案が生きている。それに、奥さまがとても喜んでくれた。
「パントリーとワークスペースもいい感じですね」
もともとあった荷運び用の作業場は、パントリースペースに。備え付けのリフトから平行移動できるよう、高さを合わせて収納カウンターを造作し、しまいたいものがスッキリしまえて便利な空間になった。
ワークスペースはご主人さま用。キッチン裏にあり、共同作業で取り付けたスライド収納が、機能もデザインも喜んでいただいた。嬉しそうにするご主人さまの姿に、私も良い仕事ができたと嬉しくなった。
「他社では難しいと言われたことも、実現してくれてありがとうございます」
採光のいい明るく素敵な住まいに、奥さまとご主人さま、そして赤ちゃん。初々しい三人の姿が、住まいを輝かせている。リフォームを経て、100年の歴史ある家は、新しい家族に受け継がれていった。
そしてそこには、絵に描いたような、幸せな家族の姿があった。