COLUMN
コラム
2021.04.20
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ここまで、事例を交えながら相続や贈与の基本をお伝えしてきました。
おさらいしたい方は下記お読みください!
第1回 リフォームは相続対策になる?
第2回 リフォーム(不動産)と贈与について
第3回 住まいの相続税対策の具体例
第5回 相続税の計算
第6回 相続で争わないためには?
前回は、相続で争わいないために遺言が必要だということをご説明しました。
遺言がないと、どうしても遺産分割協議書を作らなければなりません。そして遺産分割協議書にハンコを押すときに兄弟間でもめだすという話でした。
そこで今回は遺言と同じように世間に浸透しつつあるエンディングノートとの違いも説明してみたいと思います。
遺言とエンディングノートの最大の違いは「法的拘束力があるか否か」の違いです。法的拘束力があるのが遺言。ないのがエンディングノートです。エンディングノートは書店で1000円程度で売っていたり、金融機関が無料で配布したりしていますが、一般的には『自分の死後どうしてほしいのか、葬儀は、お墓は、葬儀で読んでほしい友人の名前』『ターミナルケア(※終末期医療)の意向』等を記したものです。
(※ターミナルケアとは余命数か月のときの治療方法のことを指します。延命治療をするかいないかなどです。)
先ほど申し上げた通りエンディングノートには法的拘束力がありません。つまり子供たちは親をエンディングノート通りにしなくてもいいのです。あくまで記した人の希望というものです。
一方、遺言は身分行為・財産行為・相続行為※に絞られますが、法的な拘束力があります。
(※身分行為とは例えば、死後に遺言によって婚外子を認知することなどです)
よって、記せる内容は限定的だが法的に有効である遺言と、何でも記していいが法的には有効ではないエンディングノートという違いになります。
ちなみに遺書はここではエンディングノートと同じ括りになります。
よって、どちらが優先的に取り組むべきかと言うとやはり遺言でしょう。遺言を記した後にエンディングノートというのが正しい順序だと思います。
しかし、遺言は日本でも記している人は少数ですし、「遺言を書いてよ」と親に言うのは少々『重たい』ものです。
下手に子供から親に遺言を書くように言ったとしても、『なんだ、俺が死んでほしいのか?』や『俺の財産狙いか?』などと特に父親が強いケースの場合逆効果となります。
よってこのようになることが容易に想像できる場合、エンディングノートが先になるというわけです。
子供が親に『ねえ、エンディングノートくらい書いといてよ、書店にも売ってるよ』というような形で子供から促すというものです。親が比較的簡単にエンディングノートを書いた場合、考えが頭の中でまとまっているので、そのまま法的拘束力がある遺言のステップに進めばいいでしょう。
また、親の中には「民主的に子供たち全員と話をしながら遺言を記したりするケース」も見られます。
これはこれで非常に素晴らしい親子関係ではありますが、子供が複数いる場合だとどうしても結論が出ません。兄弟間でけん制しあって決まるものも決まらない状態になります。船頭多くして船山に上るとでもいいましょうか。ですので、ある程度親がイニシアチブを持って進めていく必要があります。
今回は少し重たいテーマでしたね。
ゴールから逆算して勉強や仕事の計画を立てることは多くの方が実行していると思います。
死は誰にでもいつかは来る話(ゴール)です。そうであれば、ある意味、残りの人生を前向きに過ごすためにも、考えておきたいテーマではないでしょうか。
次回につづく