COLUMN
コラム
2021.04.20
ここまで、事例を交えながら相続や贈与の基本をお伝えしてきました。
おさらいしたい方は下記お読みください!
第1回 リフォームは相続対策になる?
第2回 リフォーム(不動産)と贈与について
第3回 住まいの相続税対策の具体例
第5回 相続税の計算
第6回 相続で争わないためには?
第7回 遺言とエンディングノートの違い
今回は相続に関して最重要な知識の一つである「遺留分と法定相続分」についてお伝えします。
法定相続分や遺留分について理解するために、まず最初に、「相続順位」を解説します。
相続順位とは「人が亡くなったとき、だれが相続人になるのか?」の順番のルールです。
人が亡くなると・・・
配偶者は「常に相続人」となります。さらに以下の方がいた場合、優先順位一~三の順番で配偶者と共に相続人になるのです。
■第一順位 : 子供
■第二順位 : 親、祖父母
■第三順位 : 兄弟姉妹
上記の第一~第三順位のいずれかの相続人がいた場合、それ以下の順位の人たちは相続人になりません。具体例で見てみましょう。
例えば、夫が死亡し、妻と子がいた場合、第二順位以下の親、兄弟姉妹が存命でも相続人にはなりません。相続人は配偶者と第一順位の子供になるというわけです。
子供がいたので第二順位以下の人たちは相続人にならないのです。
もう一つ例を出してみましょう。
夫が死亡し、妻がいたが子供がいない場合、第二順位以下の親、兄弟姉妹が存命の場合、親が妻と共に相続人になります。兄弟姉妹は相続人になりません。相続人は配偶者と第二順位の親になるというわけです。
相続順位が理解出来たら次に法定相続分についてみてみましょう。
法定相続分とは、民法で定められた『遺産の分け方の目安を定めたもの』です。また、法定相続人全員の同意があれば、必ずしも法定相続分通りに遺産を分ける必要はありません。あくまで目安です。
具体例を見てみましょう。様々なパターンがありますので一番シンプルな「配偶者と子供が相続人」になるケースを取り上げたいと思います。
相続人が
㋐父が亡くなって母と子供が相続人になるケース(配偶者の片方が亡くなるケースを一次相続と言います)
配偶者+子供1人=配偶者1/2、子供1/2
(父が100万円を残したら母50万円、子供50万円)
配偶者+子供2人=配偶者1/2、子供A1/4、子供B1/4
(父が100万円を残したら母50万円、子供2人で50万円を二分割)
配偶者+子供3人=配偶者1/2、子供A1/6、子供B1/6、子供C1/6
(父が100万円を残したら母50万円、子供3人で50万円を3分割)
㋑母も亡くなって子供のみが相続人になるケース(残りの親が亡くなるケースを二次相続と言います)
子供1人=子供1
(母が100万円を残したら子供100万円)
子供2人=子供A1/2、子供B1/2
(母が100万円を残したら子供A50万円、子供B50万円)
子供3人=子供A1/3、子供B1/3、子供C1/3
(母が100万円を残したら子供3人で三分割)
これが法定相続分となります。
遺留分とは、『法定相続人に最低限保障される権利』です。「遺言で全部遺産は長男に相続させる」と書いても、次男などほかの相続人が相続できる権利のことです。ちなみに遺留分は上記法定相続分の二分の一となります。
例えば
㋒父が亡くなって母と子供が相続人になるケース(一次相続)
※上記㋐の場合
配偶者+子供1人=配偶者1/4、子供1/4
配偶者+子供2人=配偶者1/4、子供A1/8、子供B1/8
配偶者+子供3人=配偶者1/4、子供A1/12、子供B1/12、子供C1/12
㋓母も亡くなって子供のみが相続人になるようなケース(二次相続)
※上記㋑の場合
子供1人=子供1/2
子供2人=子供A1/4、子供B1/4
子供3人=子供A1/6、子供B1/6、子供C1/6
遺留分の注意点は被相続人(亡くなった人)と相続人(遺産を相続する人)が兄弟姉妹の関係のときにはありません。
例えば、兄が亡くなって、相続人が弟や妹のケースです。この場合、
法定相続分は 弟1/2、妹1/2ですが、遺留分は弟、妹ともに「無し」となるのです。